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2011年02月24日

医療保険制度の動向 他2題

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(1)医療保険制度の動向「健康保険法等に基づく指導・監査について」
(2)ちょっとした工夫「紹介患者受診報告において」 
(3)番外編コラム「管理職研修その2:関心を持つことが大切」

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■(1)医療保険制度の動向 ━━━━━━━━━━━━━━━・・・‥‥…
健康保険法等に基づく指導・監査について
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先日、某医療機関で実施された「社会保険医療担当者の個別指導」に医療機関
側の1人として立会いました。

健康保険法・国民健康保険法等では、「保険医療機関は療養の給付に関し、保
険医は健康保険の診療に関し、厚生労働大臣等の指導を受けなければならな
い。」と規定されており、この指導とは「保険医療機関及び保険医療養担当規
則」等の理解と保険診療の質的向上及び適正化を図ることを目的として、地方
厚生(支)局・都道府県等により行なわれているものです。

「指導」のなかには、集団指導、集団的個別指導、個別指導、共同指導及び特
定共同指導があり、それぞれの指導が行われた際に診療内容および診療報酬請
求に不正又は著しい不当があったことを疑うに足る理由がある場合は監査が実
施されます。

厚生労働省は、これらの指導について医療給付費適正化の一環として強化する
方向で取り組んでいますが、そのあり方については、昨年某大手医療情報サイ
トで特集が組まれ、指導を受けた医師のアンケート調査結果や指導に対する意
見が掲載されていましたね。
私も過去に特定共同指導に立ち会った経験があり、興味深く読ませていただき
ましたが、担当官によって高圧的と感じる場合もあれば、丁寧な指導や質問・
相談に応じてくれる場合もあったことを思い出しました。

指導の主な内容は、以下の2点です。

1 自院がレセプトで請求した内容と実際の診療内容(カルテの記載内容等)
を保険診療の基本的ルールや診療報酬点数に関する留意事項に照らし合わせて
の確認

2 届出を行っている施設基準の要件が充足しているかの確認

1では、
・保険診療の禁止事項を行なっていないか(無診察診療等、特殊療法・研究的
診療等、健康診断、濃厚(過剰)診療等)
・カルテに診療報酬請求の根拠があるか(入院診療計画書、医学管理等、処置
範囲と算定点数の整合性、酸素量の計算、実施手術の算定点数の妥当性、麻酔
時間、麻酔管理料等)
・電子カルテによる自動算定を行なっていないか
・請求内容とカルテの記載内容が一致しているか(傷病名、診療開始日、診療
内容等)
・自己診療、自家診療を行なっていないか
等が確認されますが、日頃からこれらの内部チェックを機能させていれば大き
な問題になることはないでしょうし、指導官による個別症例の聞き取りについ
ても、診療する医師サイドと請求する事務サイドがそれぞれの専門性に基づき
日頃から緊密なコミュニケーションをとっていれば、円滑に答えることができ
るはずです。

2では、
・施設内の現地確認
・人員配置(専従・専任、免許等)、勤務状況確認
等が確認されますので、届出の際の根拠資料や控の保管、人事労務担当部署の
資料整理を行なっておく必要があります。

なお、前述の保険診療の基本的ルールや診療報酬点数に関する留意事項の主な
ものは、厚生労働省医療課・医療指導監査室が指導用に作成した「保険診療の
理解のために」という冊子に記載されていますので、入手されることをオスス
メします。

また、日頃から厚生(支)局の担当者等との情報交換を行なったり、施設基準
届出時や算定に関する疑義についてアドバイスをしてもらうなど、面識を深め
ておくことも効果的です。

多くの医療機関では、適正な保険診療を行なっているにも関わらず、院内での
職種間の連携不備・確認不足、教育不足によるカルテの記載不備などで多額の
自主返還を求められている医療機関が後を絶ちません。
指導の実施は、医療機関にとって自院の診療報酬請求の適正性をチェックする
よい機会でもありますが、一方で、院内の連携不備等により指摘を受けた場合
はモチベーションダウンなどの悪影響を及ぼすだけでなく、自主返還額が高額
になると経営的に大きなマイナスとなります。

読者の皆さんが勤務されている医療機関ではこのようなことがおこらないよう
に、院内の体制を一度確認・整備されてはいかがでしょうか?

文責:川田 一途


■(2)ちょっとした工夫━━━━━━━━━━━━━━━・・・‥‥‥……
紹介患者受診報告において
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医療機関では紹介患者受診後に簡単な受診報告をしているところがあります。
字のごとく紹介した患者が受診したことFAXなどで報告するもので、医師の所
見などを含めた診療情報提供前の一時的な報告です。内容も受診日、診療科、
担当医など簡単なものとしているところが多いと思います。

今回はその受診報告において、ちょっとした工夫ができないかをある医療機関
で行われたアンケート結果をふまえて検討してみました。

アンケートは開放型病床を有する急性期医療機関で行われたものです。受診報
告の必要性についての項目があり、アンケート結果では「受診確認ができるの
で大変よい」「よい」としている医療機関が約7割、「必要ない」「どちらと
もいえない」という回答が2割でした。

必要としている理由は、受診結果(医師の所見など)報告がなかなかこない場
合もあり、まずは受診したかどうか確認できる報告が必要としているところが
多いようです。返書管理不足や受診時に確定診断がつかず、返書までに時間が
かかるケースなども実際にあると思います。

逆に必要としていない理由としては、紹介元が必要な情報が、紹介先での受診
結果であり、受診報告ではないというものが多くみてとれます。返書管理が不
十分な医療機関では、簡単な受診報告は必要な取り組みと言えるかもしれませ
ん。

またアンケート項目の中には、開放型病床の利用についての項目もあり、その
結果において、「利用方法がわからない」「わかりやすいアナウンスがあれば
利用する」といった回答が見られました。

上記2項目をふまえると、入院した患者の受診報告時に開放型病床利用の案内
などを付加して報告することで、開放型病床の利用につながるケースもでてく
るのではないでしょうか。
入院患者の場合には、受診報告の項目(受診日、診療科、担当医)に、開放型
病床の利用方法(窓口や連絡先、入院予定日数など)もプラスしてみてはどう
でしょう。

今回は受診報告について取り上げましたが、他の業務においても、ちょっとし
た工夫ができないか検討してみると何か新しい取り組みが見えてくるかもしれ
ません。

文責:小田 耕平


■(3)番外編コラム ━━━━━━━━━━━━━━━━・・・‥‥………
管理職研修その2:関心を持つことが大切
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先月に引き続き某企業での研修について書きます。前回、管理職研修を行った
とお伝えしましたが、その中で、地域連携をテーマに取り上げました。

病院に勤務している方であればわかると思いますが、地域連携を重視している
病院さんが増えてます。背景には、経営的に医療機能に見合った患者さんを確
保しないと、成り立たないというのがあります。

研修を行った企業さんでも、地域連携を進めようとしている病院が増えている
ことは理解してはいるのですが、実際にどのように関わっていったらよいのか
ということが悩みでした。

なぜそのようなことが起きているのか、現場の方に話を聞いてみると、根本的
になぜ地域連携が進んでいるのか、医療経営とどのように関連しているのか、
それほど関心を払っていないようでした。

「相手の立場に立って」

というのは、医療業界でもビジネスであっても当たり前のことですが、実践す
るとなると難しい。どうしても、目がいくのは、自社(自分)の商品やサービ
スになってしまいます。

そこで、今回は開業医の先生が関わる地域連携の事例をもとに関わり方を検討
してもらいました。


◯連携事例(診療所の場合)

・がん拠点病院が連携パスを作成。診療所と連携してフォロー体制を構築する
動き。がん患者の増加に、専門医だけでは対応できないとの声も。

・糖尿病に関して専門医の病院の先生と、非専門医の診療所の先生方が集まっ
て勉強会。病院でフォローしきれないので、患者のコントロール方法を伝える。
特定検診を実施する医療機関が連携して、早期発見、生活指導している事例も
あり。

・半径500m圏内で内科(2診療所)・小児科・外科・泌尿器科・精神科と異な
る標榜科を掲げる診療所が連携。グループで24時間対応できるようにし、病院
と連携して1ベット確保。医療機器の共同利用を進める。

・マンションの一室で開業し在宅に特化。高専賃を保有する医療法人と提携し
業務展開。在宅医療のニーズの高まりから関連の勉強会が増加している。

・医師会が主導で、診療所、病院、介護福祉施設、検査センターが連携。2万
人近くの患者情報を共有し、大腿骨頚部骨折、がんのパスを作成。在宅医療、
緩和ケアを積極的に推進している事例がある。

・WEB型の診療所用電子カルテを作成し、紹介状、カルテ情報の連携を行える
体制へ。離島やへき地へは遠隔画像診断の支援も行われている。

普段、目の前の業務に追われていると、視野が狭くなってしまいがちです。直
接、業務と関係ないことでも、関心を持つ機会を作り出すことが大切です。

是非、上にあげた事例に関して、どのような関わり方ができるかを検討してみ
てください。

文責:木村 晃久


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