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2010年11月24日

≪ 事務職員の教育シリーズ ≫ 他2題◇制度に関する情報発信  ◇番外編コラム

【医療経営の王道】リアルメディカルの経営改善ニュース vol.28
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第28号━2010/11/24━━
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■■ 医療経営の王道 リアルメディカ ルニュース
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■■   ≪ 事務職員の教育シリーズ ≫
□□  他2題◇制度に関する情報発信  ◇番外編コラム
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発行元:リアルメディカル株式会社

(1)事務職員の役割を考えよう(3)
(2)制度に関する情報発信 〜医療機関側からの積極的な情報発信〜
(3)番外編コラム「地域医療連携の研修を行いました!」
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(1)事務職員の役割を考えよう(3)
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まずは前回までをおさらいしてみましょう。

事務職員の役割(大きな括り)
1.患者さんが気持ちよく医療を受けられる環境づくり
2.医療専門職が気持ちよく働ける環境づくり
3.病院が存続できるようにすること

「1.」については、医療の現場に出向き、患者さんを知ることが大切。
「2.」については、医療スタッフが働きやすいよう、積極的な支援を行うこ
と。
以上のように説明してきました。

今回は「3.病院が存続できるようにすること」です。

病院が存続するためには、収支の管理(経理、財務)、職員の採用・配置(人
事)、施設管理、届出・報告(総務)などさまざまな事務作業が必要になりま
す。これらの作業が滞ると、病院の業績に関わらず存続は危うくなります。
責任は重大です。

ところで視点を少し変えてみるとどうでしょうか。
ひとつに"売上げ"に貢献していないことがわかるのではないでしょうか。
どんな企業も売上げ(収入)がないと存続していくことはできません。もちろ
ん医療機関も例外ではありません。
事務職員は、医師やコメディカルのようにサービスを直接提供してお金を稼ぐ
ことはできませんが、これを支援することならできるはずです。

間接的にでも売上げに貢献しようではありませんか。

事務職員の武器はデータです。
医療機関には膨大なデータが存在しています。「患者数」「傷病名の分布」
「運動器リハビリテーション料算定件数」「医薬品の購入数」など数え上げれ
ばきりがありません。

これらのデータをどう活かすかがポイントです。

専門職の集団である医療機関では、組織が縦割り構造(部門、職種ごと)にな
りがちで各部署が保有するデータも有機的な活用ができていない場合がありま
す。

一例として「CTの稼働数」を取り上げてみましょう。

  9月  50件
10月  60件
11月  55件

これだけを見てもほとんど何もわからないですね。
「10月は多かったですね。」
「11月に減りましたが、9月よりは多いですね。」

ところが患者数と併せてみればどうでしょうか。

  9月  50件   患者数 100人
10月  60件   患者数  80人
11月  55件   患者数 120人

"CT実施率"として評価できるようになります。
9月 50%、10月 75%、11月 46%です。

また、診療日数と併せればどうでしょうか。

  9月  50件   診療日数 20日
10月  60件   診療日数 16日
11月  55件   診療日数 26日

"CT稼働率"が出せそうです。
9月 2.5件/日、10月 3.8件/日、11月 2.1件/日です。

"CT実施率"からは、CT検査のオーダ−数増に向けた取組を医師に提案するこ
とができるかもしれません。

同様に"CT稼働率"からは、効率的な稼働について検討する必要が読み取れる
かもしれません。
稼働数に対する診療放射線技師の配置員数の検討、稼働時間帯調査によるデッ
ドタイムの圧縮などが考えられます。

このようにデータを組み合わせる、あるいはそのデータのもつ意味を深堀して
いけば、かならずや収入増に貢献するネタが見つかります。

収入増は、病院が存続していくための必要条件なのです。


文責:都司 博直

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(2)制度に関する情報発信 〜医療機関側からの積極的な情報発信〜
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医療機関において、患者側からの苦情のひとつに「高額療養費制度について知
らなかった。教えてくれなかった。」といった内容のものがあります。
医療費の自己負担額が一定額を超えた部分が払い戻される制度です。事前申請
も可能で、限度額適用認定証を提示することで、窓口での支払いが限度額まで
で済ませることもできます。また、高額療養費の貸付制度もあります。患者側
にとって大変助かる制度なのですが、、、。

患者の中には、経済的理由から治療を中止する方もいます。全国保険医団体連
合会が公表した2010年度受診実態調査結果報告では、5〜10月の間で患者
の経済的理由から治療を中断・中止する事例が医療機関の38.7%で生じていた
と報告されています。
経済的理由で治療を中止した方の中には、高額療養費制度を利用していれば治
療を中止せずにすんだ方もいるのではないでしょうか。

内閣府の調査「家計の生活と行動に関する調査(2009年)」では、高額療養費
制度について「聞いたことがある」と答えた人は全体の6割弱で、「よく知っ
ている」と答えた人は3割程度。認知度が低いことがわかります。

医療機関側からの積極的な情報提供が大切ではないでしょうか。

医療機関においては、医療福祉相談室などでソーシャルワーカーが対応してい
ますが、すべての患者に対応するといったことはマンパワー的にも不可能です。
最初に述べたような苦情がないように、いち部署に任せきりにするのではなく、
他部署、特に受付などの事務職も制度に関する知識を持ち、情報提供できるよ
うにしておくことが大切です。「高額療養費制度をご存知ですか?」「事前申
請もできますが、されてますか?」と医療機関側から声をかけていくことは、
患者サービスにもつながります。高額療養費制度に関する既存のパンフレット
もあると思いますが、まずは自院の体制(相談場所・担当など)などを盛込ん
だパンフレットを作成するところからでもいいので、患者さんへの積極的な情
報発信をすすめてみましょう。

・参考までに
高額療養費パーフェクトマスター

突飛ですが、
今、話題のiPad。金井病院の金井先生監修の「MALS」(ケアネットのiPad、iP
honeを使ったeラーニングシステム)。今後は研修医だけでなく、看護師の教
育ツールに発展するそうです。今後、医療機関の事務職向けの教育ツールも需
要があるのでは。


文責:小田 耕平

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(3)番外編コラム「地域医療連携の研修を行いました!」
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今回は、いつもの「病院経営力 養成講座」をお休みして、先週の土曜日に行
わさせていただいた地域医療連携の研修について書かせていただきたいと思い
ます。

20日(土)に開催した地域医療連携の研修ですが、知識を学ぶというよりは、
明日から活動を変えていくことを目的としてましたので、ディスカッションを
多く取り入れた研修でした。

参加者が70名ぐらいで、5時間に及ぶ研修でしたので、なかなか多様な意見が
あり、講師をする側の私も勉強になりました。

もともと医療業界で、連携をしなくてはという意識が高まってきたのは1990年
代後半。1996年に紹介で来た初診患者さんについて加算がつくようになってか
らです。

連携の動きが決定的になったのは、2000年に紹介率30%以上が条件となる急性
期入院加算が新しく導入され、同じ年に回復期リハ病棟が新しい項目として設
定され、機能分化の流れが急速に進んだからです。

ご存知のとおり、どこの病院でも地域医療連携の重要性は認識しており、一生
懸命取り組んでいるところです。

ところが、後方となる医療機関、特に診療所の取り組みはバラバラです。

ディスカッションで出た、診療所の先生から見て地域医療連携が進まない原因
をご紹介すると、

・開業医が専門医師の話を聞く機会が少ない
・診療所は地域医療連携をしなくても経営が成り立つ
・診療所の先生のプライドがあって、診療内容を見られるのがイヤ
・病院に紹介すると帰ってこない
・病院に紹介した患者が帰ってくると薬の処方が変わっている
・患者を送り返してくる回復度が中途半端
・病院にどのような先生がいるのかわからない

といったものが挙がっていました。

また、病院の側から見ると、

・開業医は患者の様態が悪くなるまで送ってこない
・開業医の先生の情報がなく、医療的にどこまで対応できるのか不明
・得意分野がよくわからない

というものが挙がっていました。

機能分化が進む中で、病院は地域医療連携を積極的に取り組んでいるけれども、
それ以外の施設はまだまだです。

地域医療連携の動きがはじまって10年と少し。枠は作ったけれども、どのよう
に取り組んでいくかは、これから決めていかないといけない施設が多いという
のが現状です。

本当に地域医療連携は患者さんのためになるのか、また、医療機関や介護施設
は本当に取り組まなければいけないのか?

ただいま、研修に参加していただいた方々を通じて、成功事例を収集中ですの
で、整理できましたらご紹介したいと考えています。


文責:木村 晃久

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