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2009年11月06日

H.A.C.S 〜 マーケティング 〜 2

 前回の仮説をもう少し砕いて考えてみることにします。
 「患者さんが医療サービスを購入するのに理解は必ずしも必要ではない。」
例えば突然の腹痛に襲われたとします。
原因は不明で脂汗がたらたらと流れる状況です。
さて、あなたならどんな医療機関を受診しますか?
 ・かかりつけの医療機関
 ・いい評判を聞く医療機関
 ・近くの医療機関
おそらくこの内のどれかでしょう。しかしながら、この3つの医療機関についてどれほど理解していると言えるでしょうか。「近くの」は論外で、早くこの状況をなんとかしてほしいという希望に沿っているだけです。「いい評判を聞く」といっても、あなたが体験したわけではありません。何がいいのか? よく話を聞いてくれる医師がいるのか、処方された薬が良く聞いたのか、すべて他人の体験を元にした評価に過ぎません。
 では「かかりつけ」ではどうでしょうか。あなたが良いと判断(選択)している医療機関であるはずです。ところが今回の腹痛に対しても同様であると言い切れるでしょうか。診るべき疾患・状態が異なるので必ずしも良い結果が得られるとは限りません。つまり過去の成功体験から推測しているにすぎないのです。
 先の仮説を裏付ける事由として「経験がある(通院している)」「噂などの情報」「物理的な距離」を挙げることができそうです。

マーケティング目標

前項から、選ばれる医療機関になるためには「経験(受診)してもらう」「良い評判を立ててもらう」「アクセスを向上する」が必要だということがわかります。それぞれについて対策を考えていきます。

「経験してもらう」
周知の徹底(広報活動)と同時に間口を広げておく必要があります。自院の名称、場所など最低限の情報を徹底的に知らしめる必要があります。またどの診療科にかかればいいのか分からないこともあるため、できるだけ多くの診療科を標榜すること等も手法の一つになります。今の時期であればインフルエンザの予防接種などをアピールすればさらに間口を広げることができるでしょう。

「良い評判を立ててもらう」
いわゆるクチコミです。診療の成果と接遇(傾聴を含む)でほとんどが決まると言ってもいいでしょう。診療の成果については患者さんとの情報の非対称性から理解に乏しいため、第一義的には接遇になります。この場合、挨拶等の接遇に加えて One to Oneマーケティングの要素が多分に入ります。患者さんに接するすべての職員がニーズやニードに対応しなけばなりません。待合でイライラしている患者さんに一声掛けることで、イライラの原因が分かるかもしれません。診察が遅いことに不満を持っているのであれば、順番あるいは受診までの見込み時間をお詫びと共に提供すれば患者さんの不満解消(≒満足)につなげることができます。会話の中で最近聞こえが悪くなったという訴えがあれば、耳鼻咽喉科の受診を勧めることもできるというものです。

「アクセスを向上する」
医療機関を移動するわけにもいきませんし、患者さんに引っ越しをお願いすることもできません。物理的な距離はいかんともしがたいものなのです。しかし意識上の距離は縮めることができます。駐車場の案内を行えば自家用車での来院がよりしやすくなります。また公共交通機関の利用案内により利便性は格段に高まります。医療機関のホームページによっては、この重要性に気付いていないのかと思うものが散見されます。駐車場の場所や最寄りのバス停等が示されてはいるのですが、何も工夫されていません。駐車場があるというので行ってみたらいっぱいで入れなかった、という話も枚挙にいとまがありません。患者さんにとって必要なのは駐車可能な駐車場です。混雑する曜日・時間帯の情報を加えるだけでなく、Twitter 等で随時発信することを考えてもいいのではないでしょうか。またバス停があったとしても3時間に1本しか通らないのでは使えないでしょう。自宅から最も快適に通院することができるルートを提案するという視点に立つことも重要なことなのです。
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コンサルティングチーム主任研究員 都司博直