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2009年10月16日

H.A.C.S 〜 マーケティング 〜

 One to One マーケティングは私たちの身近なところで活用されています。例えば、特定のお店で利用できるポイントカードや旅行代理店から届くツアーのパンフレットなどです。
 ポイントカードといっても、昔ながらのカードにスタンプを押すようなものではありません。レジスターの横にある器械に挿入すると、自動的にポイントが加算されるようなものです。このようなポイントカードの多くは、購入金額に応じたポイントを記憶するといった単純な機能だけではありません。購入した商品名と数量、日時などの情報をシステムサーバーに送るのです。つまりポイントカードを使用するたびに、購入行動に関するデータが蓄積されることになります。集めたデータを解析すれば顧客の嗜好や行動パターン、場合によっては収入や家族構成といったことまで知ることができるのです。
 旅行代理店も同様です。過去の旅行歴を元に顧客の趣味・嗜好に合わせた旅行を提案しているのです。旅行歴が少ない顧客に対しても、あらかじめ旅行者の属性(性別・年齢、職業など)の分析をしておけば、最適な旅行を提案することができます。(注:“最適な旅行”とは成約率が高い意)

情報の非対称性


 患者さんが購入した医療サービスについては、患者さんご本人よりも医療機関の方が詳しいといってもよく、改めてデータを収集する必要はありません。
 一方、医療ではインフォームドコンセント(説明と同意)に基づき、検査等で明らかなあるいは疑われる状態や病状について治療等が行われます。このため一般的な他のサービスとは異なり、表面的には顧客(患者さん)の必要とするサービスは提供されていると言えます。
 これらのことは、医療機関におけるOne to One マーケティング には従来とは異なる考え方とアプローチが必要なことを示唆しています。つまりポイントカードによる購入履歴の管理ではなく(カルテで実施済み)、新たな旅行の提案でもない(インフォームドコンセントで実施済み)ということになります。
 一般的なサービス(商品)では、顧客は商品を理解した上で購入します。逆説的にいうと『理解しないと購入に至らない』です。これに対して医療ではどうでしょうか。医療サービスの知られた特質のひとつに“情報の非対称性”があります。これは医療機関(職員)と患者さんとの知識・情報の格差のことです。患者さんが医療サービスを購入しようとすると医療機関を選ばなければなりません。ところが患者さんは“情報の非対称性”により、理解には程遠いレベルで医療機関を選んでいるのです。
   「患者さんが医療サービスを購入するのに理解は必要ではない」
   「十分に理解していないのに医療サービスを購入する」
患者さんの医療機関受診について、このような仮説が成り立つのです。
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コンサルティングチーム主任研究員 都司博直